アパートとマンションの違いは、木造で2階建ての集合住宅ならアパート、鉄筋コンクリートなどの重厚な構造で3階建て以上ならマンションと呼ばれています。
ただし、これは法律上の区別ではないため、あくまでも不動産業界でそのように決められているという話です。
目次
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アパートとマンションの違い
アパートとマンションの違いを表にすると下記の通りです。
アパート | マンション | |
---|---|---|
構造 | 木造軽量鉄骨造(厚さが6mm以下の鉄骨)プレハブ工法 | 重量鉄骨造鉄筋コンクリート造(RC)鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)プレキャストコンクリート(PC)軽量気泡コンクリート(鉄骨ALC) |
階数 | 2階〜3階建て | 3階建て以上 |
不動産会社では、アパートとマンションの違いを「建物の構造」と「何階建て」かで判断するのが一般的です。
ただし、法律上の定義ではないので、貸主がアパートにマンションと名付けたとしても、マンションにアパートと名付けたとしても問題はないのです。
では、なぜ「アパート」「マンション」という呼ばれ方がされるようになったのでしょうか?
アパートとマンションという区別が生まれたきっかけ
日本では、もともと賃貸集合住宅はすべて「アパート」と呼ばれていました。
戦後になり木造の昭和っぽいアパートが量産されたのが今の木造アパートの始まりです。
1955年になると、今までのアパートとは違った鉄筋コンクリート造の高い集合住宅が建つようになり、このハイグレードな集合住宅を売るために、差別化できる別の名前が必要になりました。
そこで、高級感のある名前として英語で「大豪邸(ごうてい)」を意味する「マンション」という名前が付けられたのです。
それが今では定着し、一般に使われるようになったのです。
アパートとマンション5つの違い
「建物の構造」の違いから見たアパートとマンションの区別を、防音性、気密性、セキュリティ、災害への強さ、家賃の5つの違いで比較してみましょう。
アパートとマンションの「防音性」の違い
アパートは木造でできているところが多く壁が薄いので、防音性には優れていません。
隣の部屋でテレビを見ていれば、テレビの音や笑い声、話し声が聞こえてきます。
一方、マンションはコンクリートの重厚な壁でできているので気密性があり、防音性に優れています。
アパートとマンションの「気密性」の違い
マンションはコンクリートでできているので気密性に優れています。
気密性が高いということは、空気の出入りが少ないということです。
そのため、夏にエアコンをつけると涼しくなった部屋の空気が外にもれず、保温性もにもつながります。
一方、気密性が高い分、湿気がたまりやすく壁や窓ガラスに結露が発生しカビの原因になりやすいというデメリットがあります。
2003年以降に建てられたマンションには、24時間換気システムがついていますが、それ以前のマンションでは自分で換気する必要があります。
木造のアパートは通気性が良いので音がもれやすいのですが、その分、湿気がこもりにくいので結露やカビの問題が起こりにくいです。
アパートとマンションの「セキュリティ」の違い
マンションには、オートロックや監視カメラがあったり、管理人さんが常駐しているため、セキュリティに優れています。
上の階に住んでいれば不審者がベランダから侵入してくるという心配もありません。
一方、アパートは、防犯対策がされていないところが多く、自分で危機管理をする必要があります。
アパートは2階建てが多いので、ベランダから人が侵入してくる危険もあり、住む場所の治安を考えて部屋探しをする必要があります。
アパートとマンションの「災害への強さ」の違い
マンションは、鉄筋コンクリートで造られているので火事になっても燃え広がりにくい構造です。
鉄筋や鉄筋鉄骨は耐久性にもすぐれているので地震にも強いという特徴があります。
アパートは木造が多く、火災のときは部屋から部屋へと火が燃え広がりやすいので注意が必要です。
日頃から火の後始末などには十分気をつけて過ごしましょう。
アパートとマンションの「家賃」の違い
アパートは木造や鉄骨でできているので、建設コストがマンションに比べて安く、家賃も安い傾向があります。
木造は老朽化が早いので、年数が経てば経つほど、それに合わせて家賃も安くなります。
一方、マンションは建設コストが高く、いろんな設備が充実している分、家賃が高くなります。
共用部分のエントランスやエレベーター、管理人さんの人件費など、家賃だけでなく管理費も高いところが多いです。
アパートとマンションのメリット・デメリット
アパートとマンションのいろいろ要素を比較してみましたが、そこから分かるそれぞれのメリット・デメリットについてまとめてみました。
アパートのメリット・デメリット
メリット
- 家賃が安い
- 木造だから通気性がよく湿気が少ない。
- 湿気がたまりにくいのでカビが発生しづらい
- 築年数が古くなるほど安くなるので住みたい街に住みやすい
- 入居者が少ないので同じアパートに住んでいる人たちが把握しやすい。
ポイント:近年はおしゃれなアパートが増えているので安くても素敵な部屋はたくさんあります。
デメリット
- 生活音が響きやすいので騒音が気になったり周りに迷惑をかけないか心配
- セキュリティ面が弱い
- 気密性が低いので冷暖房が効きにくい
- 2階建てが多いので、外から侵入されやすい
- 木造は燃えやすいので万が一の火災が心配
- 鉄筋コンクリートなどに比べて耐震性が低い
ポイント:音の問題は特に住む前にしっかりチェックをすることが大切です。
マンションのメリット・デメリット
メリット
- 設備が新しいところが多い
- エントランスやエレベーター、モニター付きインターホンなど設備が充実している
- 防音性が高く、隣や上下階に音漏れしにくい
- 機密性が高く冷暖房の効きが良い
- 耐震性、耐火性に優れている
- 防犯カメラやオートロックなどセキュリティーがしっかりしている
ポイント:マンションの魅力は何といっても安心安全なところですね。
デメリット
- 家賃が高い
- 住人が多いので部外者がいても気づきにくい
- 通気性が悪いので結露やカビの原因になる
- エレベーターや管理人が常駐の場合、管理費・共益費が高くなる
- 鉄筋コンクリートだと天井に梁(でっぱり)があるので家具が自由に配置できないことがある
ポイント:2003年以降に建てられたマンションなら24時間換気システムがついているので、通気性の問題は大丈夫です。
アパートはこんな方におすすめ
アパートがおすすめの方はズバリ、あまりお金はないけど一人暮らしをしたい方です。
マンションに比べると、広さや設備では劣るかもしれませんが、家賃が安くて手が出しやすいのがアパートの魅力です。
アパートでもマンションにも劣らないくらいのお部屋が見つかる場合もあります。
お金がないからとあきらめず、いろんな条件でお部屋を探してみましょう。
アパートは1棟の世帯数が少ないので、どんな人が住んでいるのかも把握しやすく、ご近所付き合いや他人の生活音が気にならない方に向いています。
マンションはこんな方におすすめ
マンションは、できるだけ静かに暮らしたい方、住宅設備や防犯面を重視したい方におすすめです。マンションの魅力は何といっても防音性、防犯性、充実した設備です。
家賃は高めになりますが、ご近所付き合いをあまりせずに、静かに暮らしたい方におすすめです。
お部屋探しで注意するポイント
ここまでアパートとマンションの違いについてお話してきましたが、冒頭でもお伝えした通りアパートとマンションに厳密な定義があるわけではありません。
そのため、アパート・マンションという部分にこだわり過ぎると、お部屋探しが本末転倒になってしまうケースがあります。
アパート・マンションにこだわりすぎは要注意
例えば、2階建ての防音性に優れた重量鉄骨造が「アパート」として賃貸に出されていることがあります。
でも、「マンション」で探していると、この物件を見つけることはできません。
また、木造アパートでも角部屋であれば比較的、音が静かだったり、逆に鉄筋コンクリートのマンションでも大きな窓が大通り沿いに面していると、車の音が部屋まで響くことがあります。
お部屋探しは「アパートかマンションか」ではなくて、建物の構造や間取り、設備などで判断することが大切です。
まとめ
ここでは、アパートとマンションには法律上の区別がないこと、一般的なアパートとマンションの違いや特徴について見てきました。
最近ではアパートでもマンションと遜色ないものが増えてきたり、設備が充実したアパートも登場しています。
お部屋探しをする際は、「アパート」「マンション」という言葉のイメージにとらわれすぎず、しっかり自分に合った条件でお部屋探しをすることが大切ですね。