厄年の意味や由来は何?信ずるに値する根拠があるか検証してみた

厄年とは、健康を害したり災難が起こりやすいと信じられている年齢のことです。

数え年で男性が25、42、61歳、女性が19、33、37、61歳が厄年です。

特に男性の42歳と女性の33歳は大厄といって、もっとも注意が必要な年とされています。

この記事では、厄年の由来や根拠について深く掘り下げていきたいと思います。

ご興味のある方はぜひお読みください。

目次

厄年とは健康を害したり災難が起こりやすい年

冒頭でお伝えした通り、厄年とは健康を害したり、不吉なことや災難などに遭う確率の高い年のことです。

男性と女性では、それぞれ厄年が異なります。

男性の厄年女性の厄年
25・42・6119・33・37・61
男性・女性の厄年の表

男性は人生の中で3回、女性には4回、厄年があります。

表の中の赤い数字が大厄(たいやく)です。

大厄は、厄年の中でもっとも重たく注意が必要な年とされています。

また、厄年の数え方は、一般に使われる満年齢ではなく「数え年」という数え方です。

数え年って何?

数え年では、次のような年齢の数え方をします。

  1. 生まれた日が0歳ではなく1歳と数える
  2. 1月1日で年を取る

計算方法としては、「今年で何歳になるのか(なったのか)」を考えた後、それに1を足した年齢が数え年です。

誕生日前 → 満年齢+2歳
誕生日後 → 満年齢+1歳

慣れていないと計算が少しややこしいですね。

厄年の前後1年ずつは前厄・後厄

また、厄年はその年を本厄として、前の年を前厄(まえやく)、後の年を後厄(あとやく)という形で3年間が厄年となります。

前厄は厄年の兆候が現れ始める年、後厄は厄年が薄らいでいく年とされています。

男性・女性それぞれの厄年を一覧にしたのが次の表です。

男性の厄年

前厄本厄後厄
24歳25歳26歳
41歳42歳43歳
60歳61歳62歳

女性の厄年

前厄本厄後厄
18歳19歳20歳
32歳33歳34歳
36歳37歳38歳
60歳61歳62歳

厄年の3つの由来と起源

「なぜ厄年なんてものがあるのだろうか?」

そんな風に思われている方もいらっしゃると思います。

その理由を探るために、まずは由来から見ていきたいと思います。

厄年の由来としてよく知られているのは次の3つです。

  1. 古代中国の思想を起源とする陰陽道
  2. 地域でお役を担う「役年」
  3. 数字の語呂の悪さ

これらの由来は、どれかひとつだけが正解というわけではなくて、それぞれの由来が融合して現在の厄年になっているようです。

それでは、それぞれの由来について詳しく見ていきましょう。

古代中国の思想を起源とする陰陽道

現在の厄年の根幹と言っても良いのが陰陽道(おんみょうどう)という呪術や占星術といった技術体系の考えです。

陰陽道は、もともと古代中国で生まれた陰陽五行思想という自然哲学が起源となっています。

陰陽五行思想(陰陽五行説)とは?

陰陽五行思想とは、万物を陰と陽に分ける陰陽思想と、木・火・土・金・水の5元素からなると考える五行思想が組み合わさってできた自然哲学です。

陰陽思想
五行思想
陰陽五行思想

陰陽五行思想が5〜6世紀ころに日本へ伝来し、それが神道・仏教・密教などと融合して日本で独自に発展したのが陰陽道です。

陰陽道の中の占いの要素が平安時代の貴族たちの間で広まり、厄年の起源となりました。

今とは違って、当時は自分の干支(えと)を厄年としていました。

陰陽五行思想は、十二支と密接な関わりがあったからです。

それが江戸時代中期にかけて民衆の間へ広まり定着していく中で、今の形へと変化していきました。

厄年の由来というと、真っ先に陰陽道があげられますが、実際のところ明確な出典があるわけではありません。

また、現在の厄年と陰陽道との関係性も不明確なため、根拠が少しあいまいなところがあります。

男性と女性でなぜ厄年が違う?陰陽道の「陰」と「陽」が関係

男性と女性でどうして厄年が異なっているのか?

疑問に思われたことがある方もいらっしゃると思います。

これは、陰陽道の陰と陽から来ていると考えられます。

陰陽道では、数字の奇数は陽で男性的、偶数は陰で女性的と考えます。

  • 奇数:陽・男性的
  • 偶数:陰・女性的

そして、陰と陽の相反するものがぶつかり合うタイミングが厄年とされているのです。

そのため、陽の性質をもつ男性にとっては偶数(陰)の42歳が大厄、陰の性質をもつ女性にとって奇数(陽)の33歳が大厄となっているのです。

お役を担う「役年」

2つ目の由来は、厄年が「役年」から来ているという説です。

昔から一定の年齢になった人は、その地域のお寺や神社で役割を担う風習があり、その年のことを「役年」と言うそうです。

役割というのは、具体的には神社のお祭りに携わる「宮座(みやざ)」であったり、神事の中心的な役割を担う「頭屋(とうや)」などのことです。

みや‐ざ【宮座】 

(近畿地方で)村落の氏神の祭祀組織。特定の家に属する者、または氏子の一定年齢に達した男子によって構成され、順番に定められる頭屋(トウヤ)が中心となって祭祀を行う。中世以降、畿内の村落で形成され現代まで伝えられる。

出典:広辞苑

このような役割を受けた人は、神聖な役目を果たすために心身を清める必要があります。

そこで、おはらいを受けたり、言動を慎んだりしたことが厄払いの起源ではないかとされています。

「役年」という言葉はそもそも存在しない?

「厄年」が「役年」から来ているという話は理にかなってはいますが、出典が不明なため明確な根拠というものはありません。

そもそも「役年」という単語は、広辞苑にすら載っていない言葉です。

ネットで調べてみても厄年に関する情報しかないことから考えると、「役年」は厄年を説明するために造られた造語ではないかと思います。

言葉の問題はさておき、地域によっては「役年」のような風習や民間信仰があり、現在の厄年に影響を与えた可能性は十分に考えられます。

数字の語呂の悪さ

3つ目の厄年の由来は、数字の語呂の悪さから来ているという説です。

例えば、男性の大厄42歳は「死に」、女性の厄年19歳は「重苦」、大厄33歳は「散々」といった形です。

これはいわゆる「忌み言葉」を避ける日本の言霊信仰(ことだましんこう)から来ていると思われます。

言霊信仰では、言語には霊力が宿っていると考えるため、口にした言葉が実現すると信じられています。

そのため、縁起の悪い読み方の数字を厄年としたわけです。

でも、これもおかしな話で、口にした言葉が実現するのであれば、「厄年」という縁起の悪い呼び名をなぜ採用したのかという疑問が残ります。

この辺り、はっきりしたことは分かっていません。

厄年とされる年齢に正当性はあるのか?

厄年の3つの由来が分かったところで、次に厄年とされる年齢の正当性について見てみたいと思います。

実は厄年に関する古い文献がいくつかあり、それぞれ厄年が異なることが分かっています。

昔の文献と厄年とされる年齢

日本国内の昔の文献から、厄年とされる年齢が記載されているものをまとめると次のようになります。

文献内容厄年
『色葉字類抄』
(いろはじるいしょう)
平安時代の国語辞書13・25・37・49・61・73・85・97
『拾芥抄』
(しゅうがいしょう)
室町時代の百科事典13・25・37・49・61・73・99
『和漢三才図会』
(わかんさんさいずえ)
江戸時代の百科事典7・16・25・34・43・52・61
(7歳から始まって9を加えた年)
『黄帝内経霊枢』
(こうていだいけいれいすう)
中国最古の医学書7・16・25・34・43・52・61
『口遊』
(くちぶさみ)
陰陽道の書物13・25・37・39・61・73・85・91
『燕石雑志』
(えんせきざっし)
江戸後期の随筆男性:25・42 女性:19・33
文献と厄年

辞典から医学書、随筆などありますが、文献によって厄年が異なっているのが分かります。

ちなみに、『黄帝内経霊枢(こうていだいけいれいすう)』は医学書ですが、陰陽五行思想にのっとって記述されたものなので、厄年の由来と共通する思想です。

一般的な厄年とは異なる地域

また、日本に現存する厄年の中でも、一般とは異なる地域が存在しています。

地域厄年
東北地方2・4・6・8(幼児期の偶数の年)
沖縄の宮古島16歳になる男子
奄美、沖縄などの南西諸島13・25・37・49・61・73・85(十二支)

ここまで来ると、男性が25、42、61歳、女性が19、33、37、61歳という厄年の正当性が薄れてしまいますね。

さらに、話を広げて世界に目を向けてみましょう。

厄年は世界共通の風習なのか?

厄年と同じような風習を持った国と厄年についてまとめてみました。

中国
自分の生まれた干支の年が厄年。
エジプト
4歳から56歳まで4年に1度。
ドイツ
男性は4歳から64歳までの4のつく年、女性は9歳から59歳までの9のつく年。
スペイン
男性は24歳と44歳、女性は14歳と34歳。
トルコ
男性は23、43、63歳、女性は13、33、53歳。
ロシア
9歳から79歳までの9がつく年。
タイ
19、25、29、39、49歳と、25歳を除いて9のつく年。
25歳は本厄のような位置付けになる。
イギリス
男性は4のつく年齢、女性は7のつく年齢。

日本だけでなく、海外にも厄年の風習があるというのは興味深いことです。

ただし、具体的な年齢は、4のつく年、9のつく年、4年に1度、9年に1度と、国によってさまざま。

つまり、厄年という考え方そのものは昔から世界各地にありますが、どの年が正解といったものはないと考えるのが正しいでしょう。

それでは、正解のない厄年というものをどのように受け止めるべきなのでしょうか?

厄年の受け止め方について最後にお伝えさせていただきます。

厄年は人生の節目として気持ちを一新させる年

厄年について深掘りしてみて分かったこと。

それは、特定の年齢だから厄があるということではなくて、一定の年を人生の節目として捉えることが大事だということです。

七五三や成人式のように、人生に節目の年を設けて気持ちを一新させるということです。

江戸時代の厄年と人生の節目

江戸時代の頃は、男性は大厄の42歳になると祭事の重要な役割が与えらたと言います。

また、女性は大厄の33歳に一家を切り盛りする役割を姑から譲り受けたそうです。

現代では、生き方も多様化し習慣も異なっているので、人生の節目の意味は異なります。

それでも何かしら意味を与えてくれているからこそ、厄年が今でも定着しているのではないでしょうか。

人生の節目として見る厄年の意味

厄年と現代の人たちの人生の節目を照らし合わせてみると次のようになります。

男性の厄年と人生の節目

厄年変化
25歳転職昇進、結婚
42歳役職、転職、親の老い、体の衰え
61歳定年、退職

女性の厄年と人生の節目

厄年変化
19歳大学進学、就職
33歳結婚、出産、育児、引越し
37歳昇進、地域の役割、子育て、子離れ、親の老い
61歳定年、退職

このように人生の節目となる出来事が起こるときは、ふとした気の緩みが事故や病気につながりやすい年だとも言えます。

だから、節目となる年に気持ちを入れ替え、自分を見つめ直すことで、人生をもっと豊かにしていこう。

そんな捉え方が良いのだと思います。

まとめ

ここでは、厄年の意味とその由来について深掘りしてみました。

厄年とは、健康を害したり災難が起こりやすいと信じられている年齢のこと。

一般的な厄年は、数え年で男性が25、42、61歳、女性が19、33、37、61歳が厄年です。

厄年の由来は、陰陽道、役年、語呂の悪さの3つあることも分かりました。

厄年というものに根拠があるのかどうかは分かりませんでしたが、人生の節目として活用すると良いですね。