フクロウとミミズクの違いは「耳」のありなしで決まります。
「耳」が付いているのがミミズク、付いていないのがフクロウです。
ここではフクロウとミミズクの違いについて、さらにフクロウとミミズクの不思議な生態について詳しくお話していきます。
ご興味のある方はぜひお読みください。
目次
フクロウとミミズクの違いは「耳」のありなし
冒頭でもお伝えしたとおり、フクロウとミミズクの違いは「耳」のありなしです。
「ミミが付いているからミミズク」と覚えると覚えやすいですね。
先ほどから「耳」と呼んでいる部分ですが、本当は耳ではなくて羽角(うかく)という飾り羽です。
※この記事では、分かりやすく「耳」と表現させていただきます。
羽角(うかく)って何?
羽角というのは、ミミズクの頭部についた飾り羽のこと。
耳のようですが音を聞くためにあるわけでもなく、その役割についてはまだ分かっていません。
天敵から身を守る際に、自分の体を木の葉に擬態(ぎたい)させるのに役立つのではないかとも言われています。
警戒するとピンと立ち、リラックするすると寝た状態になります。
ちなみに、本物の耳は側頭部の羽毛に隠れているので見えません。
フクロウとミミズクは生物学的には同じ種類
フクロウとミミズクは、どちらも「鳥綱フクロウ目フクロウ科」に属しています。
つまり、ミミズクもフクロウの一種なので、ミミズクのことをフクロウと呼ぶのは間違いではありません。
実際、違いは「耳」くらいなので、生物学的な違いはほとんどありません。
英語ではフクロウ・ミミズクどちらも「owl」
フクロウとミミズクは、生物学的には同じ種類の鳥なので、英語ではどちらも「owl(アウル)」と呼びます。
「owl」とは「フクロウ」のことです。
日本語 | フクロウ | ミミズク |
英語 | owl【フクロウ】 | horned owl【角フクロウ】 eared owl【耳フクロウ】 |
英語では、どちらも「owl」なのに、どうして日本では「フクロウ」「ミミズク」と呼び分けるのでしょうか?
その理由は、ミミズクという名前の語源にありました。
ミミズクの名前の語源は「耳フクロウ」
ミミズクの「ミミ」は文字通り「耳」のことです。
「ズク」というのは「ツク(木菟)」が語源です。
ツクは平安時代から使われている古い言葉で「フクロウ」という意味。
つまり、ミミズクの語源は「耳フクロウ」ということになります。
結局、ミミズクもフクロウも「フクロウ」のことだったということがこれで分かりましたね。
ミミズクは漢字の書き方がたくさん存在する
ミミズクは漢字で次のような当て字で書かれることがあります。
「木菟」「木兎」「鵩」「鶹」「鵂」「角鴟」「鴟鵂」「耳木菟」「耳木兎」
難しそうな見慣れない漢字ですが、すべて「ミミズク」と読みます。
ちなみに「菟」「兎」は「ウサギ」と読みます。
ウサギのように「耳」があるから「木のウサギ」という当て字になったのでしょうか。
「◯◯ズク」という名前の鳥はみんなミミズクの仲間
ミミズクの仲間には「◯◯ズク」という名前がつけられています。
「ミミ」は省略されますが、「◯◯ズク」という名前を見たらミミズクの仲間だと思って大丈夫です。
ミミズクとコノハズクの違い【コノハズクもミミズクの一種】
よく「コノハズクとミミズクの違いは何?」という疑問を持たれる方がいます。
これもミミズクの一種です。
こちらがコノハズク↓
ミミズクの中でもっとも小さな鳥で、全長はたったの20センチ。
その大きさを比較するとこんな感じです。
左にいるのがコノハズク(全長20cm)。
右にいるのがミミズクの中でも最大といわれるワシミミズク(全長60-75cm)です。
同じミミズクでもこんなに大きさの違いがあるものなんですね。
コノハズクの鳴き声が他の鳥の名前にされてしまった話
こちらの鳥をご覧ください。
青くてキレイな鳥ですね。
名前は「ブッポウソウ」と言います。
夏になると日本にやってくる渡鳥で、「ブッ・ポウ・ソー」というキレイな鳴き声が名前の由来になっています。
ところが、後になってわかったことなのですが、実際に「ブッ・ポウ・ソー」と鳴いていたのは、この鳥ではなく、コノハズクだったのです。
当のブッポウソウの鳴き声はというと、「ゲェー、ゲゲゲゲ」といったカエルのような濁った声。
きっと、キレイな鳴き声を聞いた人が、「この鳴き声の主は、キレイな鳥に違いない」と思って、近くの青い鳥に「ブッポウソウ」と名前を付けてしまったんですね。
キレイな鳥と間違われてしまったという、コノハズクの高く澄んだ鳴き声がこちらです。
代表的なミミズクの仲間たち
代表的なミミズクの仲間にはこんな種類があります。
例外:「耳」があるのにフクロウ・「耳」がないのにミミズク
フクロウとミミズクの基本的な違いは「耳」の有無なのですが、中には例外もいます。
さて、ミミズクとフクロウの違いが分かったところで、今度はミミズクを含めたフクロウという鳥について詳しく見てみましょう。
※ここから先は、ミミズクとフクロウを総称してフクロウと表現させていただきます。
日本に生息しているフクロウの種類は?
フクロウは世界で140種くらいの仲間がいます。
中でも日本に生息しているのは10種類くらいです。
日本で見られるフクロウの仲間がこちらです。
アオバズク
全長 | 31~33cm |
生息地 | 日本全域 |
寿命 | 30〜40年 |
オオコノハズク
全長 | 21~26cm |
生息地 | 日本全域 |
寿命 | 10〜15年 |
キンメフクロウ
全長 | 22~27cm |
生息地 | 日本全域 |
寿命 | 15~20年 |
コノハズク
全長 | 17~21cm |
生息地 | 日本全域 |
寿命 | 8~12年 |
コミミズク
全長 | 34~42cm |
生息地 | 日本全域 |
寿命 | 約20年 |
シマフクロウ
全長 | 60~72cm |
生息地 | 北海道東部 |
寿命 | 約30年 |
シロフクロウ
全長 | 50~70cm |
生息地 | 北海道 |
寿命 | 約25年 |
トラフズク
全長 | 35~40cm |
生息地 | 北海道 |
寿命 | 10~15年 |
フクロウ(ウラルフクロウ)
全長 | 50~65cm |
生息地 | 日本全域 |
寿命 | 約20年 |
リュウキュウコノハズク
全長 | 17~21cm |
生息地 | 日本全域 |
寿命 | 8~12年? |
ワシミミズク
全長 | 58~75cm |
生息地 | 北海道 |
寿命 | 20~30年 |
フクロウに関する豆知識
フクロウには、他の動物にはない変わった特徴がいくつかあります。
フクロウは夜行性
フクロウは鳥の仲間では珍しく夜行性です。
夜行性になった理由は、天敵のワシやタカと遭遇しないためだと言われています。
ワシやタカは昼間に活動するのでフクロウは夜間に活動することで、天敵に遭遇しないように進化してきました。
目の色(虹彩)で活動時間が違う
フクロウは基本的に夜行性なのですが、フクロウの中には昼間に活動する種類もいます。
どの時間帯に活動するのかを目の虹彩の色で判断できるそうです。
黄色
昼に活動
オレンジ色
朝・夕方に活動
濃い茶色
夜に活動
昼の太陽の黄色、朝日・夕日のオレンジ、夜の暗闇といった形で、目の色が空の様子を表しているようですね。
首が270度回る
フクロウは夜行性の肉食動物です。
そのため、他の肉食動物と同じように、顔の正面に目がついています。
暗闇の中で、両方の目で獲物をとらえ、獲物との距離を正確に把握するためです。
でも、目が正面に付いていると、その分、視野が狭くなります。
また、フクロウの眼球はほとんど動かすことができません。
そのため、これを補うためにフクロウの首は可動域が広くなっています。
フクロウには、首の骨が14個もあり、人間の2倍になっています。
だから、首を270度も回転させることができるのです。
フクロウの耳は左右で高さが違う
フクロウの耳は左右違う高さのところにあります。
左右の高さが違うと音が立体的に把握でき、獲物の位置を音から正確にとらえることができます。
フクロウの聴覚は非常にすぐれているので、地中に潜むネズミが動く小さな音でも聞き分けて、暗闇の中で狩りができるのです。
擬態して身体を細く見せる
フクロウは敵の気配を感じると、体を細くして木の枝に擬態します。
また、体を大きく見せて威嚇することもあります。
音を立てずに飛べる
フクロウの翼の羽根はギザギザ構造になっているので、飛んでいる最中も音を立てません。
だから、獲物に気づかれることなく捕まえることができます。
羽根にあるギザギザが空気を拡散し、音を抑える効果があるそうです。
ペリットを吐く
フクロウには歯がないので、餌はすべて丸呑みします。
そのため、胃の中で消化ができなかった動物の骨やウロコ、毛、羽などを塊にして口から吐き出します。
これをペリットと言います。
フクロウは排泄とは別に、口からペリットを吐きます。
通常の糞とは別に、ドロッとした茶色い盲腸便を出す
鳥の糞というと、黒っぽい塊と白い尿酸をイメージすると思います。
でも、フクロウの糞には、これとは別に盲腸糞(盲腸便)と言われる茶色くて臭いのキツい糞を出します。
もし、フクロウを飼いたいと言う方は、盲腸便の臭いには気をつけたいですね。
まとめ
フクロウとミミズクの違いとその生態について見てきました。
「耳」がないのがフクロウ、「耳」がついているのがミミズクというのはもう覚えてもらえたと思います。
フクロウは、愛嬌のある独特な風貌と特殊能力を持った不思議な鳥です。
テレビやYoutubeでフクロウをお家で飼っている様子を見ると、つい自分の家でも飼ってみたくなってしまいますね。
でも、フクロウはそれなりのお金と覚悟がないと飼えない動物なので、フクロウカフェで触れ合うくらいが良いと思います。