プチプチの正式名称は、気泡緩衝材(きほうかんしょうざい)と言います。
もう少し簡単な表現で「気泡シート」と呼ばれることもあります。
この記事ではプチプチの正式名称の他に、いろんな呼び名やその歴史、プチプチを人がつぶしてしまう意外な理由などについてご紹介しています。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
プチプチは川上産業の商品名
プチプチという呼び名は、川上産業という会社がつけた商品名(登録商標)です。
川上産業は国内で初めてプチプチ製造マシンを開発したシャア率No1のメーカーです。
補足:登録商標とは?
登録商標というのは、国に登録された商品名やサービス名のことです。
例えば、「プチプチ」は川上産業が商標登録した名前なので、気泡緩衝材を「プチプチ」という名前で販売できるのは川上産業だけです。
※ただし、この記事では話を分かりやすくするために、気泡緩衝材のことをあえて「プチプチ」と呼ばせていただきますね。
プチプチのいろんな名前
「プチプチ」には、メーカーによっていろんな商品名が付けられています。
もしかしたら、プチプチの他にも聞いたことがある名前があるかもしれません。
商品名 | メーカー |
---|---|
プチプチ | 川上産業株式会社 |
エアーキャップ | 酒井化学工業株式会社 |
エアピロン | 川上産業株式会社 |
ミナパック | 酒井化学工業株式会社 |
キャプロン | 株式会社ジェイエスピー |
エコロガード | もりや産業株式会社 |
エアセルマット | 株式会社和泉 |
サンマット | 北海道サンプラス株式会社 |
プチプチの起源
「プチプチ」は、アメリカの2人の技術者(アルフレッド・フィールディング、マーク・カヴァネス)による壁紙の失敗作から始まりました。
1957年、彼らは簡単に掃除のできる壁紙を開発しようと考えます。
壁紙がビニールでコーティングされていれば汚れが落ちやすいのでは?と考えたのでしょう。
紙の上から布地の模様を付けたビニールを被せてみたのです。
すると、誤ってビニールに気泡が入り込んでしまい「別の何か」が完成してしまいました。
それが「プチプチ」の原型になるものでした。
詳細は分かりませんが、ビニールにほどこした布地の模様が、紙と圧着した際に気泡の原因になったではないでしょうか。
プールシートとして使えるかも・・・
開発者というのは、失敗を失敗とは考えません。
「うーん、これは壁紙には使えないけれど、別の用途で使えるのでは?
空気が入っているから水に浮くし・・・。
そうだ!プールに浮かべて落ち葉避けしたらいいかも!」
そう考えたかどうかは分かりませせんが、プールシートとして販売をはじめます。
しかし、ほとんど売れませんでした。
その後、梱包材として大ヒット!
当時、パソコン販売でシェアを有していたIBM。
この会社がコンピューターを梱包するクッション材として「プチプチ」を使用するようになったのがきっかけで「プチプチ」が大ヒットします。
「プチプチ」を開発した2人はシールド・エア・コーポレーション (Sealed Air Corporation) という会社を1960年に設立します。
そして、「プチプチ」を「Bubble Wrap(バブル・ラップ)」として商標登録しました。
日本のプチプチの起源
日本で「プチプチ」が使用されるようになったのは、1966年の宇部興産(当時)がはじめです。
先ほどのシールド・エア・コーポレーション社から「プチプチ」の製造機を導入し、「エアーキャップ」という商品名で販売します。
その翌年、1967年に「プチプチ」を世に広めた川上産業が、独自にプチプチ製造マシンを開発し、「エア・バッグ」の商品名で販売します。
プチプチの名前の由来
プチプチという名前が誕生するのは、気泡緩衝材が販売されてから30年ほど経った1994年のことです。
ユニークな感性を持った川上産業の2代目社長・川上肇さんが気泡緩衝材のことをプチプチとネーミングしたのです。
もともと企業に向けて販売している商品に「プチプチ」という可愛らしいネーミングをすることには社内からは抵抗があったそうです。
でも、この名前のおかげで、今では一般の人たちにもプチプチが広く知られるようになりました。
8月8日はプチプチの日
その後、川上産業は8月8日を「プチプチの日」として独自に定めます。
それが日本の記念日を定める団体「日本記念日協会」にも認められ、2000年に正式な記念日となりました。
なぜ、8月8日が「プチプチの日」なのかというと、
- プチプチの突起を2つ合わせた様子が数字の「8」に似ている
- プチプチをつぶすときに「パチ(8)パチ(8)」と音がする
という理由なのだそうです。
「プチプチの日」には、川上産業がキャンペーンを開き、プチプチグッズを全国で無料配布しているそうです。
プチプチは10,000個に1個だけハート型がある
川上産業が作るプチプチには、10,000個に1個の確率で、ハート型の「プチ」があるそうです。
確率にして0.01%。
このハート型の「プチ」を見つけることができると幸せになると言われています。
ただし、これは川上産業のプチプチだけに言える話。
つまり、他のメーカーの「プチプチ」と合わせると、ハート型を見つけられる確率はさらに低くなります。
見つけた人は本当にラッキーですね。
プチプチをつぶすのは人の本能?
誰でも一度は「プチプチ」をつぶした経験があると思いますが、この「プチプチ」をつぶしてしまう行為には理由があるそうです。
その心理効果に関する2つの研究をご紹介します。
プチプチつぶしにはリラックス効果がある
1つ目の研究は、アメリカのウェスタン・ニューイングランド・カレッジの研究です。
被験者に2シートの「プチプチ」をつぶしてもらい、その心理的な変化を調べるという実験を行いました。
その結果、「プチプチ」つぶしには、気持ちを落ち着かせる効果、意識を覚醒させる効果があることが判明したそうです。
確かに「プチプチ」つぶしに集中していると、余計なことを考えずに済むので気持ちが落ち着きますね。
プチプチをつぶしてしまうのはプチプチが「つぶしてくれ」と言っているから
モノは、それをどう扱ったら良いかメッセージを発しているという考え方があります。
アメリカの知覚心理学者ジェームズ・J・ギブソンは、これをアフォーダンスと呼びました。
アフォーダンスというのは、環境が動物に対して与える「意味」のこと。
ちょっと話が難しいので、分かりやすく例をあげると、
- ボタンがあったら → 押したくなる
- ヒモがぶら下がっていたら → 引っ張りたくなる
- イスがあったら → 座りたくなる
- ボールがあったら → 手にとって投げたくなる
- 穴があったら → のぞきたくなる/指を入れたくなる
どうでしょうか?
確かにそうだと思いませんか?
このようにモノがもつ独特な形や色、材質などが人にどう扱うべきかを伝えているというのがアフォーダンスなのです。
その話から行くと、
プチプチがあったら → つぶしたくなる
というのはアフォーダンスなのです。
赤ちゃんもチンパンジーもプチプチをつぶす
アフォーダンスを裏付ける話として、2004年6月12日に放送された『脳力探険クイズ!ホムクル(TBS系列)』という番組があります。
この番組の調査によれば、
- 生まれて一度も「プチプチ」を見たことのない2歳の赤ちゃんが何も教わらずに「プチプチ」をつぶした。
- 伊豆シャボテン公園のチンパンジーが「プチプチ」つぶしに夢中になった。
ということが分かっています。
人間ならまだしも、チンパンジーまでもが「プチプチ」をつぶすとは。
「プチプチ」が「つぶしてくれ」とメッセージを発信しているとしか考えられなくなってきました。
まとめ
プチプチの正式名称は、気泡緩衝材(きほうかんしょうざい)でした。
そして、「プチプチ」が、その形、触感から「つぶしてくれ」というメッセージを発していることも分かりましたね・笑
「プチプチ」を世に広めた川上産業は、プチプチ文化研究所という研究機関で、プチプチに関するいろいろな研究も行っています。
ご興味があったらぜひそちらもチェックしてみてください。
プチプチ文化研究所:https://www.putiputi.co.jp/putilabo