O型が蚊に刺されやすいというのは本当です。
なぜ、O型が蚊に刺されやすいのか?その理由やメカニズムはまだはっきりとは分かっていません。
でも、蚊に狙われやすい人の条件というのは判明してきています。
ここでは、どんな人が蚊に刺されやすいのかを見てきましょう。
目次
O型は蚊に刺されやすい
O型の人が蚊に刺されやすいという事実は、いくつかの実験によって明らかになっています。
ここでは海外と国内の実験を1つずつご紹介します。
O型が蚊に刺されやすいことを示した欧米での実験
1つ目は、1972年の「Nature」で発表された欧米での実験。
20匹の蚊(ハマダラカ)が入れらた箱の中に腕を入れ、血液型の違いによって10分間でどのくらい刺される数に違いが生まれるかを検証しました。
この実験を102人の被験者に行ったところ、O型の人は平均5.045カ所、O型ではない人は平均3.503カ所という結果になりました。
O型の人は、それ以外の血液型の人よりも約1.4倍多く刺されたことになります。
さらに、蚊の腸内の血液を調べ、それぞれの血液型の割合を調べたところ、「O型 > B型 > AB型 > A型」という順で、O型の血液がもっとも多く吸われていたことが分かりました。
出典:Selective Feeding of Anopheles gambiae according to ABO Blood Group Status.
この実験では、ハマダラカという種類の蚊を実験に使いましたが、日本ではヤブカやイエカの方が主流です。
これらの蚊でも同じような結果になるのでしょうか?
調べてみると、日本でヤブカを使った実験が行われているのを見つけました。
O型が蚊に刺されやすいことをヤブカで検証した実験
これは、害虫防除技術研究所の白井良和さんが行った実験です。
先ほどと同じように64人の人たちにヒトスジシマカ(いわゆるヤブカ)が入った箱の中に腕を入れてもらい、異なる血液型の人たちにそれぞれどのくらい蚊が付着するかを実験しました。
その結果が次の通りです。
血液型 | 蚊の付着率 |
---|---|
O | 78.5% |
B | 56.9% |
AB | 48.0% |
A | 45.3% |
先ほどの実験と同じように「O型 > B型 > AB型 > A型」の順番になっているのが分かりますね。
「血液型物質」が蚊を引き寄せる?
なぜ、O型の人に蚊が止まるのか?
その理由を探るため白井さんは「血液型物質」というものに注目します。
血液型物資というのは、血液型に由来する物質で毛髪や皮膚、唾液などに含まれることがあります。
この血液型物資が蚊を引き寄せているのではないかと考えました。
ただし、人によっては血液型物資を分泌しない「非分泌型」の人もいるため、被験者のうちの分泌型だけを対象に、同じ実験をしてみました。
その結果、平均相対パーセントがA型が46.5%に対して、O型は83.3%と、約1.8倍も多く蚊が付着するという結果になりました。
血液型物資を使った実験
血液型物資が蚊を引き寄せていることをさらに調べるために、それぞれの血液型物資だけを肌に塗り、蚊が付着する数の違いを調べてみましたが、そこには大した違いはなかったそうです。
つまり、血液型物資そのものが蚊が引き寄せていたわけではないようです。
以上、ご紹介した2つの実験では、ともにO型が一番蚊に刺されやすいということが分かりました。でも、その理由は未だによく分かっていません。
というか、そもそも蚊は何に反応して人に近づいてくるのでしょうか?
蚊が人に近づくメカニズム
蚊が人に近づいてくる大きな要素は「二酸化炭素」「匂い」「熱」の3つだと言われています。
まず、蚊は10メートルくらい離れた場所から、人が呼吸によって排出した二酸化炭素を感知して、近づいてきます。
人の近くまで来ると、今度は人の匂いを嗅ぎ分け、より好みの匂いが強い方へと向かっていきます。
そして、最後は、肌の至近距離まで近づき、体温を感知して人の肌を特定し血を吸うのです。
蚊は色も識別することが分かっていて、黒色を好みます。
黒、青、赤、褐色、緑、黄、白のシャツをそれぞれ着た人たちのところに、どのくらいの蚊が飛んで来るかを実験した結果、黒いシャツの人のところへ一番多く蚊が集まり、一番少なかったのは白いシャツの人でした。
最近、判明した「足の常在菌」との関係
2016年に、当時高校2年生だった田上大喜さんの蚊の研究が世界的な注目を集めました。
田上さんは、「蚊に刺されやすい妹を助けたい」という思いから、中学3年生のときに自宅で蚊を飼い始め、蚊の実験を開始しました。
いろんな実験をしていく中で、蚊が匂いに引きつけられることに注目した田上さんは、妹さんの帽子や衣類など、いろんなものの匂いを蚊に嗅がせたそうです。
すると、靴下に蚊が反応し、吸血行動を起こすことを発見。
妹さんの足を調べてみた結果、刺されにくい人の足よりも常在菌(雑菌)の種類が多いことを突き止めたそうです。
その結果、足の常在菌の種類が多い人ほど、蚊に刺されやすいということが判明しました。
それを証明するように、アルコールを湿らせたティッシュで妹さんの足の裏を消毒したところ、蚊に刺される数が3分の1に減少しました。
ちなみに、これは「足が臭い」人が蚊に刺されやすいということではありません。
田上さんの家族の中では、お父さんの足が一番におうけれど、足が全くにおわない妹ばかりが蚊に刺されていたからです。
蚊に刺されやすい人の条件
いろいろな実験を見ていただきましたが、最後にどういう人が蚊に刺されやすい傾向にあるのかを見ていきましょう。あなたはいくつ当てはまるでしょうか?
- 血液型がO型の人
これは先ほどの実験からその傾向があることが分かりましたね。 - 汗かきな人
蚊は、汗に含まれる乳酸の匂い(?)に引き寄せられます。そのため、汗かきの人は蚊に刺されやすいです。 - 運動をした人
運動をした人は汗をかいているのはもちろんですが、二酸化炭素の排出量も増えるので汗と二酸化炭素のダブルで蚊を引き寄せます。 - お酒を飲んだ人
アルコールは、体内で消化・分解されるとき大量の二酸化炭素を発生させます。これが汗や呼吸とともに外へ排出されるため、蚊を引き寄せます。 - 体温の高い人(子ども)
蚊は温度を感じる感覚が人間の約10倍すぐれているそうです。わずかな体温の違いを感じ取り、より体温が高い人のところへ蚊は寄っていきます。子どもは大人と比べると体温が高い傾向があるので、子どもの方が蚊に刺されやすくなります。 - 黒い服を来ている人・日焼けしている人
蚊は黒い色を好むので、黒い服を着ていたり日焼けして肌が黒くなっているところへ寄っていきます。 - 足の常在菌の種類が多い人
足の常在菌の種類が多いのかどうかって自分では分かりませんよね?気になる方は、こまめに足を洗うと対策になります。
これらの条件をまとめると、黒い服を着て、外で日に焼けながら運動している汗かきなO型の子どもが一番蚊に刺されるということになりますね・笑
まとめ
O型の人は蚊に刺されやすいというのは本当でした。
ただし、そのメカニズムについてはいまだ分かっていません。
蚊は日本人にとって身近な存在ではありますが、実は蚊が媒介する病原菌によって、世界では年間75万人の人たちが亡くなっています。
つまり、人間にとって世界でもっとも危険な生物は、サメでもクマでも、ライオンでもなく蚊なのです。
蚊が人を刺すメカニズムを知ることは、蚊が媒介する病原菌から人を救う手がかりを見つけるという意味でも大きな可能性を秘めているのかもしれません。
今後の研究に期待したいところです。