ジャンケンのときによく使われる「最初はグー」。
これを発案したのはなんと志村けんさんでした。
この記事では「最初はグー」が生まれたきっかけ、誕生秘話をお伝えします。
目次
「最初はグー」の誕生秘話
きっかけは、「8時だョ!全員集合(TBS系)」の収録のあとに行われたジャンケン大会。
志村けんさんが酔っ払い同士のジャンケンのタイミングを合わせるため、「最初はグー!」と号令をかけたのがはじまりです。
伝説のコント番組「8時だョ!全員集合」
「8時だョ!全員集合」は、志村けんさんがメンバーの一人であったザ・ドリフターズ主演の伝説のコント番組です。
放送は1969年から16年間も続きました。
この番組は、基本的に生放送でコントをしていたので、放送が終わるとみんなでお酒を飲みに行っていたそうです。
飲み代を支払う人を決めるジャンケン大会
ザ・ドリフターズのメンバーや番組スタッフでいつも飲みに行くと、毎回、飲み代を支払ってくれる人がいたそうです。
あるとき、その人に毎回支払ってもらうのは申し訳ないという話になり、今日はジャンケンで誰が支払うかを決めようということになりました。
酔っ払い同士のジャンケンぽん!
志村けんさんがジャンケン大会の音頭を取りジャンケンを始めたものの、みんなお酒が入っているので出す手がバラバラ。
勝負になりません。
そこで、志村けんさんが「じゃあ、みんな手を上げて! 最初はグーだよ」と号令をかけジャンケンをしたのです。
「最初はグー! ジャンケンぽん!」とかけ声をしたところ、みんなのタイミングが合い、無事にじゃんけんをすることができました。
後日、このネタを「8時だョ!全員集合」のコントで使用することになったのです。
「最初はグー」を広めたコント「ジャンケン決闘」
「8時だョ!全員集合」の中に「ジャンケン決闘」というコントがあります。
志村けんさんと仲本工事さんが西部劇風の格好をして酒場で対決をするというものです。
普通、西部劇の対決というと拳銃の抜き打ちをイメージすると思いますが、その対決方法はジャンケン。
負けた側は罰ゲームを受けるというルールになっています。
このコントの中で「最初はグー」のかけ声を使ったところ、客席が盛り上がり、子どもたちはかけ声をマネをするようになりました。
そして、日本中に「最初はグー」が定着するようになったのです。
「最初はグー」には正式なフレーズがある?
「最初はグー」にはもっと長い正式なフレーズがあると言われています。
最初はグー!またまたグー!いかりや長介頭はパー!正義は勝つ!ジャンケンぽん!
そういえば、そんなのあったな!懐かしい!という方も多いはず。
この正式なフレーズがが短縮されて現在の「最初はグー」というかけ声が定着したと言われています。
ただ、後日談としてこの長いフレーズは、志村けんさんご自身が発案したものではないとご本人が言っていることが判明しています。
アンタッチャブル山崎弘也から、「『最初はグー』のほかに『いかりや長介、頭はパー』ってありませんでしたか?」と質問されると、志村は笑いながら「あれは子どもが勝手に作った。俺は言ってない」と弁明していた。
この長いフレーズが本当に子どもたちの発案だとしたら、子どものセンスがすごいと思いませんか。
最初はグーには実は元ネタがある?
志村けんさんの「最初はグー」には元ネタがあるという説があります。
芸者さんの遊び説
志村けんさんが「最初はグー」を使うより前、東京・神楽坂などのお座敷で芸者さんがお遊びでそれをやっているのを志村さんたちは見ていたそうです。
これを仲間内で使うようになり、コントで使うようになったのではないかという説です。
本家野球拳説
野球拳というと、ジャンケンで負けた人が服を脱いでいくというイメージがありますが、本来(本家)の野球拳は、歌って踊りながらジャンケンをするという遊戯です。
この本家野球拳では「アウト!セーフ!よよいのよい!ジャンケンぽん!」というかけ声で「よよいのよい!」のタイミングでグーを出すという決まりがあります。
もしかしたら、この「よよいのよい!」が「最初はグー!」に変わったのではないかという見方もできますね。
志村けんさんたちが見た、芸者さんたちの遊びも、もともとは本家野球拳から発展した遊びだったのでは?とも考えられます。
日本じゃんけん協会が志村けんに感謝
2020年3月に志村けんさんが亡くなった際、日本ジャンケン協会が公式ツイッターでメッセージをつぶやきました。
「日本でこれほどジャンケンが広まったのは、志村さんが考案した『最初はグー』があったからに他なりません。何よりたくさんの笑いをありがとうございました」となどとの追悼コメントをつづりました。
まとめ
「最初はグー」の発案者は志村けんさんでした。飲み会の席でジャンケンをするときのかけ声として使われたのが始まりです。
ジャンケンのときにみんなが無意識にする「最初はグー」。
これが志村けんさんの発案だったなんて、いかに私たちの生活文化の中に、彼が影響を与えていたかが実感できますね。
スイカの早食い、変なおじさん、だいじょうぶだ〜、今だに彼がいなくなってしまったことが信じられません。
これからも彼が残してくれたお笑いの文化は人々の間に引き継がれていくことでしょう。